リアリズムと防衛ブログ

防衛ってそういうことだったのかブログ。国際関係論や安全保障論について、本の感想などを書いています。

2位のブログになるためのポジショニング戦略

 尊敬してる皆様から褒められて嬉しかったので、自慢で申し上げるのですが、拙ブログは書き始めてから半年余りで、軍事ブログとしてはかなり大きくなれました。今回はそのために使った方法についてです。

JSFさんにべた褒めされたので私は浮かれています!

 拙ブログよりずっとハイレベルな軍事ブログはたくさんあります。にもかかわらず拙ブログは急成長を遂げ、つい先日、日本最大の軍事ブログ「ほぼ日刊週刊オブイェクト」のJSFさんにべた褒めして頂きました。

うふふ、でへへ、ありがとうございます。嬉しかったです。

急速な勢いで拡大を続ける「リアリズムと防衛を学ぶ」は、僅か半年間でアルファブロガーの仲間入りを果たした事になります。

急速な勢いで拡大成長を続ける軍事ブログ『リアリズムと防衛を学ぶ』の凄さ : 週刊オブイェクト

 トップハテナーの軍事カテゴリランキングによると、拙ブログはオブイェクトさんの次点、第二位につけております。このランキングは「はてなユーザーからどれだけ見られているか」に相関しているので、必ずしもブログの質をそのまま示してはおりません。ですがアクセス数のだいたいの指標としては有用だと思います。

 このように拙ブログがTophatenerの指標や、たぶんアクセス数で、軍事ブログ第二位ぐらいにつけられたのは、別に私が格別に優れた記事を書いているからではありません。現に拙ブログとは比べ物にならないほどハイレベルで正確な記事をポンポン書いてらっしゃる優れた軍事系ブログはたくさんあります。というか実際のところ、私はあまり軍事に詳しい人ではありません(軍事マニアって奥が深いんです)。

 それなのに拙ブログが突出した急成長を遂げられたのは、ブログ運営上の工夫によるところが大きいと思っています。JSFさんが褒めてくれた今だから言えちゃうことですが、私は身の程知らずにも当初からオブイェクトさんを意識し、2位になろうと思って運営してきました

 今はJSFさんに褒められた直後で調子に乗っているので自分語りとかやっちゃいます。その上、拙ブログとオブイェクトさんの比較とかやらかしてみます。怒られたりしないよね…? しないといいなぁ…。

週刊オブイェクト」は伊勢丹

伊勢丹だけがなぜ売れるのか 誰からも支持される店づくり・人づくり

 拙ブログは「軍事ブログ」というカテゴリーに属しています。このカテゴリで圧倒的第一位を占めているのがオブイェクトさんです。

 オブイェクトさんでは兵器から防衛政策まで論評を展開され、かつ常に鋭く的を射ています。しかも時事ネタをすぐに扱っているため、多くの人の情報需要に応えています。またその解説の専門性が、そこまで難しくはありません。ですからJSFさんご本人が仰るとおり「初心者〜中級者向けに軽い内容が書いて有るから閲覧数が多い*1」ということになります。

 軍事系ブログを小売業にたとえるなら、オブイェクトさんは「高級百貨店」だと思います。このカテゴリ内の色々な製品(情報)を手広く扱っており、しかもどれもこれも高品質です。流行を追っているし、高級ではあるものの「物凄いお金持ちでないと何も買えない」というわけでもありません。なので多くの人が来訪し、コンテンツを楽しむことになります。

 つまり「週刊オブイェクト」は、軍事ブログという街の中心に位置する、伊勢丹のような百貨店に見立てられます。

伊勢丹の横で百貨店を開こうとは思わない

 この写真は初めて月に行った「アポロ11号」の船員たち…ではなくて、その次に月へ行った「アポロ”12号”」の船員たちです。彼らも偉業を為しましたが、その知名度は3人分あわせても、11号のニール・アームストロング船長一人に遠く及ばないでしょう。

 アポロ11号、伊勢丹、あるいは週刊オブイェクトのように、圧倒的な第一位が存在すると「これと競っても絶対に勝てない」とわかります。私では逆立ちしてもJSFさんに及びませんし、それに加え、どうあがいても二番煎じになってしまうからです。

これが「一番手の法則」である。…次の二つの質問を読めば、一番手の法則がよく理解できるだろう。


1:大西洋を最初に単独で横断飛行した人物の名前は? 
そう、もちろんチャールズ・リンドバーグだ。


2:大西洋を”二番目に”単独横断飛行した人物の名前は? 
おそらく簡単には答えられないだろう。


大西洋を二番目に単独飛行した人物は、バート・ヒンクラーである。ヒンクラーはリンドバーグよりも腕のいい飛行士だった。少ない燃料で、早く飛行することができた。だが、バート・ヒンクラーの名を知る人はあまりいない。

p13 売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

だから後から参入するには、既存のブランドの真似をしてはいけない、とこの本は説きます。第1位の真似をしていては、第2位にすらなれないのです。

新しいカテゴリーで1番になる

では後から参入するにはどうすればいいかというと、既存のカテゴリの中に、より小さな新しいカテゴリを作って、そこで1番になることだそうです。

IBMがコンピュータで大きな成功を収めるや、同業者がこぞってこの分野に飛び込んできた。…IBMに次ぐ会社となったコンピュータ会社はデジタル・エクイップメント社(DEC)であった。


IBMはコンピュータ業界の一番手であり、DECはミニコンピュータの分野で一番手となったのである。*2

この考え方でいけば、より専門化した軍事ブログになればよい、ということになります。例えば軍事の中でも自衛隊のことだけ扱うとか、海上保安庁を専門にやるとか、そういう小カテゴリを占有してしまうのです。

軍事ブログは、高級店が多い

とっておきの銀座 (文春文庫)

 実際、オブイェクトさん以外の優れた軍事系ブログには「高級専門店」が多いように思います。たとえば夏光華(シア・クァンファ)様のブログ「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」です。ここは軍事のなかでも「ロシア・ソ連海軍」に特化した、専門的で貴重な超優良サイトです。

 こういった超専門ブログは、小売業ならばニッチな高級専門店だと思います。「高級輸入ネクタイピン専門の店」みたいな感じでしょうか。高級な輸入ネクタイピンが欲しい人は迷わずそこに行くでしょう。ですが普通の人は、せいぜい百貨店で買って良しとするんじゃないでしょうか(だからこそ、そういう専門店はお洒落さんにとってこの上なく貴重なのですが)。

 つまりは軍事ブログの界隈は、町の中心に高級百貨店があって、その周りに高級専門店が軒を連ねているイメージです。

新規参入する前にすこし考えたこと

 この街で新たにお店を開くにはどうすればいいのでしょう。私もシアさんのように専門特化できればいいのですが、私は実際のところ、初級者に毛が生えた程度なのです。兵器だとか戦史だとか、特定の一分野への深い造詣は持っていません。

 にも関わらず、私はどうせブログをやるなら、たくさんの人に読んでいただきたいと思いました。どうせやるなら徹底的に、です。

 それに情報は、それを発信する人に集まります。ということは自分が勉強するためには、多くの人にブログを読んでもらって、間違いを指摘してもらったり、いい本を教えてもらったりするのが一番の早道のはずです。

 だから軍事ブログ第1位のオブイェクトさんには到底及ばないとしても、それに次ぐくらい大きなブログに育てたいと思いました。

第2位になりたければ、第1位の逆をやる

 そこで私が参考にしたマーケティング本では、こう説いています。

あなたがしなければならないことは、ナンバーワンのエッセンスを見つけ出し、顧客にそれと反対のものを提供することである。言い換えれば、相手の上を行こうとしないで、相手との差別化を図るのである。これが、しばしば見られる伝統企業 対 新興企業の図式である。


p90 売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

この本の著者はたくさんの企業の例を挙げて、この方法論の効果を示しています。

例えばコカコーラ(第一位)に対する、ペプシコーラ(第二位)です。歴史があり、正統的なコカコーラに対して、ペプシはより新しいコーラとして若い層アピールすることで第二位にのし上がったそうです。

とすれば、ナンバーワンのオブイェクトさんを意識するなら、その正反対の属性を探してみようと思いました。かつその属性は、オブイェクトさん以外にも数多い優良軍事ブログ、それら全てとも差別化されたものであるべきでした。

 前述のように、軍事ブログ界隈では、オブイェクト百貨店を中心にして、専門特化した高級専門店が軒をつらねています。この街でまだ先例がない専門特化、しかも第1位である高級百貨店の反対を探すとなれば、その答えは一つでした。

だからダイエーを開くことにした

 この高級ショッピング街に足りないのは、庶民向けのスーパーマーケットです。「手広く扱うことで間口を広げる」という点ではオブイェクトさんを真似しつつ、層を変えることにしました。高級な百貨店ではなく、専門店でもなく、手軽に使えるスーパーマーケットを開くことです。つまりは長所を真似しつつ、性質を第1位の逆にしました。

 拙ブログは「ちょっと興味はあるけど、よく知らない」皆さんや、そもそも「軍事になんてほとんど興味がない」人のために書こうと思いました。百貨店に比べ、スーパーマーケットが値段の安い商品ばかり扱っているように、誰でもとっつきやすい記事を書くことにしたのです。

 また「とっつきやすい記事を書く」ということは、私にとって苦にならないことです。JSFさんから見れば、拙ブログでやっているような基礎知識まで遡った説明は実にめんどくさそうに感じられるようです。

「ここから説明を始めなければいけないのか」という出発点から懇切丁寧に教えて行かねばなりません。自分の好きなように書く事は出来ず、ストレスの溜まる作業でしょう。

急速な勢いで拡大成長を続ける軍事ブログ『リアリズムと防衛を学ぶ』の凄さ : 週刊オブイェクト

 ですが私はどういうわけか、昔からそういうのが好きでした。ある情報を、前提知識を持たない人へ分かるように工夫して伝えるのが好きで、今では日常的にやっていたりします。

 だから、ライトでとっつきやすい軍事ブログを書くことは、私にとって愉しみになり、それでいて軍事ブログ界隈で差別化をはかれる方向性でした。軍事ブログを読まない皆さんにもたくさん来てもらえたらいいなーと思って書き始めました。

 その後、書いていくなかで、読んでくれた皆さんのご意見を参考にして軌道修正をしながら、いまこんな感じで落ち着いております。

見た目のイメージも正反対にする

図解でわかるカラーマーケティング―カラーの特性を生かした、カラーでなければできない、消費者が新鮮に感じるマーケティング手法 (Series marketing)
 ただ内容だけでは自信がなかったので、見た目にもオブイェクトさんと対称・差別化ができるように考えました。ブログの色です。

 オブイェクトさんの色はブラックです。背景色が黒、文字は白。文字がくっきりと読みやすい配色です。黒という色は「高級・高品質」「大人っぽい」といったイメージを持つと聞きます。その反面、なんとなく圧迫感や怖そうな感じをともないます。

 それに対して拙ブログは全体にっぽくつくりました。以前は灰色がかった白だったのですが、最近ではよりクリアな白背景に薄いグリーンを加えてみました。白は清潔そうな感じ、グリーンはなんとなく安心する感じに通じるそうです。

 つまりは黒のオブイェクトさんに対し、見た感じでなるたけ逆の印象になったらいいなと思って色を決めました。他にもブログの趣旨を右上のプロフィール欄に明示して、ポジションを言葉で説明しています。

 その方針を記事で実践するため、画像や例え話を多用することを心がけ、できるだけそもそも論まで遡って書くようにしています。正確極まりない専門的情報で解説をなさるJSFさんとは違ったアプローチでいきたいのです。

面白いブログにもっと増えて欲しい!

 とまあ、私はこんな感じのことを考えて、これまでこのブログを書いて参りました。

 私が用いたような考え方は軍事ブログでなくても、2位を狙う場合でなくとも、いろいろと応用できると思います。とにかく、こういう風に自分のブログのカテゴリと、その中でのポジションを意識してみるといいと思います。要は「自分のブログは、何屋であるのか?」ということです。

 「じゃあウチはジュンク堂だ。幅広く扱い、かつ情報の選定眼で魅せよう」「輸入雑貨の専門店だ。この分野の海外情報にしぼろう」とかいう風に考え、あるべきポジションを自覚すると、ブログの方向性がクリアになります。

 そんな専門的なブログじゃない、日々思ったことを書き連ねる日記ブログであっても同様です。一人の人間が書いている以上、たとえ日記でもそこには話題や趣味の偏りがあるはずです。それを自覚し、似たような分野の他ブログと比較してポジションを明確化することです。

 方向性をクリアなブログは、読み手にとっても便利です。「○○が知りたいときはこのブログ」というイメージが明確になります。それに方向性がはっきりしたブログは読みやすく、面白くなります。

ブログがもっと面白いツールに変わる

 またそれは、読む側だけではなく、書く方にとっても楽しいことでありえると思います。

 自ブログのポジションを自覚し、明確化することで、ブログを大きくしたい人はアクセス数が増え、趣味のブログならば同好の士と数多くであえ、勉強ブログならば望んだ情報がどんどん流れ込んできます。ブログがもっと面白いツールに変わるのです。

 私はそのようにして、ブログをより面白く楽しむ人が増え、その結果、面白いブログがもっともっと増えていったら楽しいだろうなと思っています。

ちょっと面倒かもしれないけど

 とはいえ、そんなの面倒だ、と思われるかもしれません。確かにそうで、多少は考えたり、方向性を調整したりするので、何も考えずに気ままにやるよりは手間がかかるといえるでしょう。ブログなんて所詮は余暇でやっている遊びです。そこまで熱をあげて、創意工夫する必要性はありません。


 とはいえ余暇の遊びというものは、マジメに遊んだ方がより楽しくなるのも事実なのです。

お勧め文献

売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則
アル ライズ ジャック トラウト
東急エージェンシー出版部
売り上げランキング: 6467

文中で引用したマーケティングの本です。
実のところ、こういうのをゲーム的に試してみたかったのがブログを始めた動機のひとつだったり。

*1:http://obiekt.seesaa.net/article/134889706.html

*2:p26 前掲書