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リアリズムと防衛ブログ

防衛ってそういうことだったのかブログ。国際関係論や安全保障論について、本の感想などを書いています。

アララ・デラックス・ミューズリーのレビュー

スイスの甘くないシリアル、見た目は鳥さんのエサ、ミューズリーのレビューです。

ミューズリーは麦はじめとする色々な穀物、ドライフルーツなどをブレンドして作ります。商品ごとにブレンドの具合が違い、味わいが全く違います。どんな味がするかは袋買いして食べてみるまで分かりません。そこで、私が食べたミューズリーを気が向いたときにご紹介してみます。

今回レビューするのは、イギリスのアララ社が発売している「デラックス・ミューズリー」。日本でもっとも手に入りやすいミューズリーのひとつです。

麦が良い、アララのデラックス

このミューズリーの特徴は「麦が良い」ということ。

ミューズリーは品によって色んな特徴があります。軽くて食べやすいとか、フルーツ大目で甘いとか、香ばしさがいいとか。そんな中、アララ・デラックスは敢えて無個性。平凡な構成です。

デラックスを食べた後は、もっと個性的なミューズリーが食べたくなり、色々な袋を試してみたくなるでしょう。・・・しかしそのうち、またデラックスに戻ってきたくなるのでしょう。個性的なミューズリーはすぐ飽きるけれど、デラックスは飽きがこない。ミューズリーのベース、麦のおいしさが際立っているからです。

米の飯に飽きるということが無いように、アララのデラックスは、何がなくとも帰ってきたくなる味わい。王道基本のミューズリーといえるでしょう。

ミューズリーを食べるということ

ミューズリーは、往々にして、高級で健康志向なシリアルとして売られています。海外の、ちょっと生活水準が高い、おまけにインテリ風味な家庭で食べられている、ヘルシーでオーガニックな感じで・・・値段もそこまで安くはないですしね。

確かにそういう側面もある。しかしね、違うんですよ。ミューズリーっていうのは、何ていうか、もっと素朴ものなのです。スイスの牧童が放牧にいって、小腹がすいたときなど、ポケットから干した麦を取り出してかじる、そういう風景から生まれた食べ物です。

成分組成をみてください。カラス麦、干しぶどう、ナツメヤシ、ひまわりの種。どこが高級食品ですか。よく言って、気の利いたスズメのおつまみか何かですよ。ちっともありがたくない、それがいいんです。

ミューズリーの美味しさとは何か

21世紀、先進国の豊かな社会の中で、人工物にかこまれて、こういう素朴なものを食べる。もさもさと食べる。ともかくも、腹の足しになる。人間というのは、大したもののような顔をして地平にのさばっているけれど、こういうものを食べて生きられるんだと、そういうことを思うのです。

牛丼とかハンバーガーとか、そういう安くて満腹感がいくらでも手に入る世の中です。そんな中で、こういう素朴なものを食べる。堅い。味がない。無味乾燥の四字熟語は、これを表すために発明されたのではないかーー仕方が無いから、よく噛む。噛まざるを得ない。

すると、唐突に、不思議なことに気づきます。あれ、これはこれで、いいんじゃないのか。美味しい?いや、美味しくはない。しかし、好ましい。なぜか。

対象が認識に従う

カントはいう。「認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う」と。

我々はナイーブに世界を認識するとき、「対象がそのようであるから、私はそう認識している」と思っています。ある食べ物が美味しい、だから、私はそう認識している。すると相手が不善、不快、不可解であれば、それは物自体として悪なのだ、と思い込みます。

しかし実際は、我が認識している世界は、物自体ではなく、我々に立ち現れている現象であるに過ぎません。そこには我々が認識するという作用が必ず働いています。

そう思えば、私たちは一度、立ち止まることができます。我々が悪だと思っている相手は本当に悪なのだろうか。不可解だと思っている敵の認識からすれば、我々こそ不可解な悪なのではないか。本当のところはさておいて、私はなぜ相手を悪だと認識しているのかー。

ミューズリーが不味い、味がないと嘆く前に、そう感じている自分自身に向き合ってみる。それが食事です。

ミューズリーを食べるということ

老子がいう。「天下みな美の美たるを知るも、これ悪のみ」と。美しいものを讃える心は、醜いものを嫌う心とひとつであります。

美、旨、快適なものを求めることは、同時に、醜・不味・不快の観念も生み出すことでもあります。得る幸せを求めつつ、失う不幸を作り出しているのかもしれません。

そういう区別を超え、一粒の麦を噛み、一欠の干果実を噛み、淡々と食事をとる。すると、味が無い中に味わいがあり、素朴さの中に豊かさがあり、麦一粒に大地があることに気づくでしょう。

イギリス食文化礼賛

これはそういう食べ物なんだと思い込むなら、デラックス・ミューズリーほど適した製品はありません。食文化が豊かとはいえない英国だからこそ、こういう、質朴な中に味わいのある製品を作れたのではないでしょうか。さすが、石のように乾いたビスケットと、ほんの少しの干し肉を携えて、世界の海を支配した帝国は、違う。

国破れて山河有り、飯不味くしてミューズリーうまし。太陽がもっとも美しいのは、まさに沈みゆく時なのです。緩やかで、かざらない時間が、ミューズリーの素朴な味わいに重なります。

デラックス・ミューズリーの食べ方

麦の中の滋味が豊かなデラックスを食べるなら、ヨーグルトでリッチに食べるのもいいけれど、私は牛乳をお勧めします。麦の味わいがにじむほどに浸して、ふやけたところをいただきましょう。