沖縄タイムスによれば、石垣市の中山市長が、尖閣諸島への上陸を計画中です。尖閣諸島は法律上、石垣市の市内にあります。
市長、尖閣諸島へゆく
石垣市の中山義隆市長や同市議会議員らは26日、尖閣諸島を行政区に持つ自治体として、同諸島への上陸視察の実現を政府に要望した。片山善博総務相は「要望はしっかり受け止めている」と述べ、近く関係閣僚で話し合う意向を示した。
沖縄タイムス |
この視察は固定資産税の評価を行うためという名目ですが、尖閣諸島の実効支配を確認する意味合いもあるとみられています。
石垣市にとって、尖閣諸島は単に外交の問題ではありません。それは漁業を営んでいる市民の安全にかかわる、生活に身近な心配事だそうです。
「当面は要請に対する政府の判断を見守るが、あくまでも私と市議が上陸する方針は変わらない」と意志は固い。
なぜなら事件以降、周辺海域で中国や台湾の漁船が急増し、地元漁民の不安が日増しに高まっているからだ。
中山氏は「地元の漁民から、中国人船長の釈放以降、中国や台湾の船が大挙して押し寄せ、違法操業や領海侵犯が増えたと聞いた。漁民は不安で漁に行きづらくなっている」と指摘。「特に中国は漁業監視船を送っており、これに逮捕や拿捕され、連れて行かれたらどうなるのかと怖がる漁民が多い」と訴えた。
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日本の実効支配が強化されていけば、長い目でみて、尖閣周辺で石垣島の漁民が中国に逮捕されるのでは、というような心配を減らせるのではないか、という考えのようです。*1市長の上陸計画は、現在、政府の許可待ちです。
大統領、国後島へゆく。
確かに責任ある立場の人間が上陸するというのは、実効支配を強化する方法のひとつです。今日の朝、ロシアの大統領が北方領土の国後島を訪問したのも対外的には同様の狙いによります。(時事通信)
ロシアのメドベージェフ大統領は1日朝(日本時間同)、北方領土の国後島を訪問した。ソ連時代を含めロシア国家元首の北方領土訪問は初めて。……
日本側は、係争地の北方領土にロシア国家元首が自ら訪れることは、北方四島の実効支配を誇示する政治的メッセージになると受け止めており、領土問題をめぐって日ロが一致していた「静かな雰囲気の中での対話」が当面、困難になるのは確実とみられる。
国後島は北方四島の一つであり、北方領土がロシア側の案である「二島返還」で決着した場合、ロシア領として残る島です。この訪問によって日ロ関係は悪化し、四島返還はさらに難しくなり、ロシアの実効支配がより強固なものになるでしょう。
市長は上陸できるか?
政府の許可待ちの石垣市長ですが、もし許可が降りなくても、政府の返答によっては上陸を強行することになるかもしれません。石垣市議会の議長はこう述べています。
石垣市議会の伊良皆高信議長は「実効支配を確実にするには、上陸して経済活動をするなどの行動が必要だ。
本来は国が対応すべきだが、昭和53年(1978年)以来、中国の領海侵犯が続いていて国は事なかれ主義だった。このままでは尖閣は危ない」
と述べ、国側が不許可もしくは回答の引き延ばしを図った場合は、民間ヘリを借り上げて上陸する準備を行っていることを明かす。
前原外務大臣によれば、政府は内閣官房を中心に各省庁との話し合いをして、石垣市長の上陸を認めるかどうか相談中とのことです。上陸が実行されれば、ロシア大統領の国後上陸によって日本が持つような感情を、中国側に生じさせることになるでしょう。現在、ひきつづき混迷中の日中関係との兼ね合いをどう考えるか、なかなか判断は難しいものがありそうです。