リアリズムと防衛を学ぶ

本の感想などを書いています。

読んだ本「安全保障の国際政治学 焦りと傲り(初版)」

 

安全保障の国際政治学―焦りと傲り

本書は安全保障研究の諸理論に関する本です。抑止、同盟、危機管理といった主要なトピックについて、どのような理論研究がなされているかが分かりやすく学べます。

国際政治学の網羅的な教科書というと、
国際政治学をつかむ (つかむシリーズ)

国際紛争 原書第9版 -- 理論と歴史

国際政治 (放送大学大学院教材)

 

などがあります。安全保障はこれらの中でもちろん触れられており、特に「国際紛争」では突っ込んで書かれていますが、それでも紙幅と主題の関係から、あまり安全保障だけを掘り下げるわけにはいきません。
 
一方、安全保障研究の中でも軍事力の使い方にフォーカスした戦略研究の本であれば、

戦略論

戦略原論

などがあります。ここでは戦争や軍事戦略レベルの考察が主になります。

国際政治学ー安全保障研究ー戦略研究

という構造の中で、中間の安全保障研究について、主要なトピックの理論を網羅しているのが本書です。

目次は以下の通り。

第1章 はじめにツキディデスありき
第2章アナーキーという秩序
第3章 安全保障 このとらえがたきもの
第4章 セキュリティ・ディレンマ 安全と不安の悪循環
第5章 失う恐怖の理論 プロスペクト理論
第6章 抑止のディレンマと抑止失敗
第7章 核戦略と現代の苦悩 
第8章 国際危機と危機管理
第9章 同時のディレンマと同盟外交 
第10章 同盟終焉の理論
終章 セキュリティ・パラドックスの陥穽
非常に勉強になりました。座右に置いてよく読み返さないといけない本です。
初版を買ってから読み終えるまでに第二版が出たので、直ちに第二版を買って、そちらをまた通読しようと思います。
安全保障の国際政治学 -- 焦りと傲り 第二版

安全保障の国際政治学 -- 焦りと傲り 第二版