本書は安全保障研究の諸理論に関する本です。抑止、同盟、危機管理といった主要なトピックについて、どのような理論研究がなされているかが分かりやすく学べます。
国際政治学の網羅的な教科書というと、
国際政治学をつかむ (つかむシリーズ)
などがあります。安全保障はこれらの中でもちろん触れられており、特に「国際紛争」では突っ込んで書かれていますが、それでも紙幅と主題の関係から、あまり安全保障だけを掘り下げるわけにはいきません。
一方、安全保障研究の中でも軍事力の使い方にフォーカスした戦略研究の本であれば、
などがあります。ここでは戦争や軍事戦略レベルの考察が主になります。
国際政治学ー安全保障研究ー戦略研究
という構造の中で、中間の安全保障研究について、主要なトピックの理論を網羅しているのが本書です。
目次は以下の通り。
第1章 はじめにツキディデスありき非常に勉強になりました。座右に置いてよく読み返さないといけない本です。
第2章アナーキーという秩序
第3章 安全保障 このとらえがたきもの
第4章 セキュリティ・ディレンマ 安全と不安の悪循環
第5章 失う恐怖の理論 プロスペクト理論
第6章 抑止のディレンマと抑止失敗
第7章 核戦略と現代の苦悩
第8章 国際危機と危機管理
第9章 同時のディレンマと同盟外交
第10章 同盟終焉の理論
終章 セキュリティ・パラドックスの陥穽
初版を買ってから読み終えるまでに第二版が出たので、直ちに第二版を買って、そちらをまた通読しようと思います。