ロシアが軍事介入を決定したことで、ウクライナ危機は急速に進展しています。が、なにぶん遠方のことですがから、土地勘もないし、イメージしづらいところです。
いま問題の焦点は、黒海艦隊の母港があるクリミアの帰趨にありますが、「黒海? どこだそれは」「クリミア戦争…世界史でやった気もする」という感じな人が多いのではないでしょうか。
こういう国際問題が起きたとき、便利なのはBBCのサイトです。BBCは国際的にもCNNかBBCかという具合で、信頼性と配信力の高いメディアです。(英国国内的には「BBCは政治的に偏向してるから駄目だ」という声もけっこうありますが)
BBCの素晴らしいところは、国際問題が起こると速攻で「まとめ記事」をアップしてくれるところです。
ぜんたい、国際問題というのは「いま、大変なことが起きてます!」というニュース1本読んでも分かりません。「昔こんなことありました」「そもそもこういう込み入った事情があって」「で、最近こんなことあったんで」という背景と文脈を知らないと「どうしてこうなった」が分かりません。
そこでBBCは、ニュースをみて初めて興味をもった人でも分かるように、諸事情をまとめてくれています。
クリミア問題についてはこちら。地理的な事情、ウクライナ国内のロシア語・ウクライナ語圏の話、黒海艦隊とは、また19世紀のクリミア戦争まで端的にふれながら、この分量の少なさ。素晴らしいです。
What is so dangerous about Crimea?(BBC News EUROPE)
また、ウクライナ危機全体が、どうしてこうなったかがよく分かるタイムラインはこちら。
こういう「まとめ」記事を速攻で作ってくれるのがBBCの偉いところです。
NHKもいつかはこういう仕事をしてくれるようになって欲しいものです。国際問題ではたいていそうなのですが、日頃ウォッチしていない地域で火種があがった時は、日本の新聞・テレビの報道を10本みるより、BBCのまとめ記事を探してそれ1本を読んだ方が分かり易いし、そのくせ背景と流れまで押さえられます。
こういうメディアが国際的に信頼されるのは自然なことです。反面、「まとめサイト」に掲載されれば嘘も本当のように流布してしまうように、BBCなどの欧米大メディアに否定的な論調で「まとめ」られると、大損をします。
日本が何か行動をとる場合、それが外交であれ内政であれ、こういう大メディアから見て理解できるストーリーを組み上げて、好意的に、せめて中立的に取り上げさせることを意図しないといけないでしょう。
○参考:BBC News (Kindle Tablet Edition)