リアリズムと防衛を学ぶ

本の感想などを書いています。

ブログ開始から1年が経ちました

皆さま、いつもお読みくださりありがとうございます。お陰さまを持ちまして、ふと気がつけばこのブログを書き始めてからはや1年が過ぎました。今日はその節目に日記をつらつらと書きます。 ふりかえってみますと 思い出してみますと、書き始めた当初は定期…

マスコミの軍事リテラシー不足の問題

芸能人から政治家まで、さまざまな人がTwitterでつぶやき始めている昨今ですが、「在日アメリカ海軍司令部」もツイッターをやっています(在日米海軍司令部 (CNFJ) on Twitter)。在日アメリカ海軍の広報などを、わりとざっくばらんにつぶやいているようです。…

台湾が長距離ミサイルで北京を狙う理由 〜台湾の防衛戦略

台湾が中距離弾道ミサイルと巡航ミサイルの開発を再開する模様です。これに成功すれば中国の首都・北京をミサイルで狙えるようになります。 いまの台湾の総統は馬英九という人ですが、彼は中国に友好的な姿勢をもっています。だから北京を狙える長距離ミサイ…

普天間移設、および軍事は政治の道具だということの意味(追記あり)

私はこのブログで普天間移設問題について語ることを避けてきました。なぜならこの問題は大きすぎて、私の手には負えないからです。といっても「普天間基地を移設しよう、移設先はどこが便利か」それだけで済めば、話はとても簡単なのです。しかし、それは軍…

中国海軍の沖縄通過は何を意味するのか?

中国艦隊は沖縄を突っ切って沖ノ鳥島へむかった (イメージ) 10隻の中国艦隊が沖縄と宮古島のあいだを通過し、東シナ海に抜けました(4/13読売)。防衛省の発表によれば、中国艦隊は現在も日本領沖の鳥島の近海で活動中とのことです(4/20産経)。中国海軍…

戦車と装甲車はどう違うのか?  ヨムキプル戦争4

十月戦争をとりあげるシリーズです。日本では第四次中東戦争と呼ばれているこの戦いは、エジプト・シリア軍がイスラエルを奇襲したことで始まりました(その1)。イスラエル自慢の戦車部隊はエジプトが大量にそろえた対戦車兵器によって敗退します(その2…

「空軍だけでは戦争に勝てない理由」 ヨムキプル戦争3

十月戦争(第四次中東戦争)はエジプト・シリアとイスラエルの戦争です。この戦争を題材に、一部は日本の防衛にも通じる教訓をとりだしていくのがこのシリーズです。 空軍万能論? 「空軍万能」のイメージがたまに見受けられます。制空権をとった側が絶対有…

「戦車の限界」 ヨムキプル戦争2

photo by Janette Asche 日本では第四次中東戦争とも呼ばれている十月戦争、またの名をヨムキプール戦争は、ほぼ同程度に近代化された軍同士が大規模に戦った稀有な戦例です。この戦争はエジプト、シリア両軍の奇襲によってはじまりました。奇襲を受けたイス…

「強い軍隊、弱い軍隊 抑止力としての軍備」 江畑謙介著

強い軍隊、弱い軍隊posted with amazlet at 10.04.07江畑 謙介 並木書房 売り上げランキング: 90004Amazon.co.jp で詳細を見る 「強い軍隊、弱い軍隊」は、「抑止力」という観点から日本の防衛力を解説した良書です。作者は去年亡くなられたあの江畑謙介氏で…

リプレイ:ロシアの野望(ゲーム「ディプロマシー」)

今日は珍しく趣味の記事を書きます。ボードゲームの話です。最近読んでいるブログで「ディプロマシー」の話題がとりあげられていました。 第一次世界大戦を舞台にした このボードゲームの特徴はなんといっても、『最初の国決めの時以外、運の要素は一切無い…

日本は人道的な武器輸出国をめざす

日本は「武器輸出三原則等」によって兵器の輸出を長らく自粛してきました。しかしこれを緩和する方向で議論が進んでいます。この動向をみるに、武器輸出三原則等を廃止こそしないものの、近いうちにある程度の武器輸出を認めることになるかもしれません。 武…

「スイスのデフレ克服」

昨年、スイスが1%程度のデフレに陥った際に、それをいかに克服したのかが報道されています。いずれ何か記事を書きたいと思うので、ここに一部引用しておきます。 スイスでは、金融政策運営手段として、外国為替市場で介入する権限が中央銀行に与えられてい…

続・のび太がジャイアンを抑止するには? 抑止の発展

これは「抑止」ってそもそも何なのかを解説するシリーズの第3弾です。戦争が起こることを未然に防ぐため、世界の国々は「抑止」を行っています。抑止とは外国に「戦争を思いとどまらせる」営みです。 これまでのまとめ 基本的抑止(Basic Deterrence) :の…

「桃太郎の軍事学」 から 「日本の海防史」まで

ツイッターで色々とつぶやいていたら、なんだか予想外に多くの方が読んでくださり、まとめまで作って下さいました。何をつぶやいていたかといえば、3つのテーマについてです。 桃太郎を軍事的に考えると 第1には昔話「桃太郎」にみる島国の防衛です。桃太郎…

台湾海峡の現在と、有事のシナリオ

今回は台湾海峡有事に関するメモ的な更新です。 台湾有事、4つのシナリオ 台湾海峡有事で起こりうるシナリオについて、アメリカ国防総省のシファー氏がこう述べました。(時事通信2010/03/19) 中国軍拡の主たる目的の一つは、台湾海峡有事に備えたものである…

ケインズvsハイエクのラップ対決と、お勧めの副読本

かなり旧聞に属しますが「ケインズとハイエクがラップで対決」という凄い動画が話題になりました。アメリカのテレビ屋さんが作ったものらしいのですが、非常に秀逸な出来です。 ケインズとハイエクがそれぞれの主張をラップで繰り広げ、対決するという動画で…

「韓国軍が自衛隊に勝った!」というニュースが別にどうでもいいワケ

陸上自衛隊が韓国陸軍に敗北したというので、いくらかニュースになっているようです。といっても日韓のあいだで紛争が起こったのではありません。 日本の陸上自衛隊初級将校たちが陸軍のサバイバル訓練場で韓国軍将兵たちと実戦的なゲームをした。……自衛隊初…

先日からBLOGOSに載っています

遅まきながらご報告です。ライブドアが運営する「BLOGOS」というサイトに、拙ブログのエントリーが掲載されています。ブロゴスはいくつかのブログから記事を転載し、ひとつの雑誌のようにしているサイトです。 ブロゴス内の「リアリズムと防衛を学ぶ」のURL…

抑止の種類 のび太がジャイアンを「抑止」するには? 

抑止論についての解説記事です。 「懲罰的抑止」「拒否的抑止」「褒賞的抑止」の3種類について、「のび太国」と「ジャイアン国」の例をあげて分かりやすく解説しています。

津波から避難するときの注意点

チリの大地震により、日本にも津波が襲来することが予想されます。気象庁は大津波警報を発しました。太平洋岸の県では災害対策本部が発足し、避難勧告がでました。 津波から避難する際のポイントを、静岡県がまとめています。それによれば、いざ避難するとい…

「抑止」ってなんだ?

防衛についての議論では「抑止」という言葉が数多くでてきます。「抑止力を保持するために」とか。ある国が戦争が戦争を起こそうとすることを、主に軍事力によって押さえつけ、防ぐのが「抑止」です。抑止とは何かについてその前提、分類などを何回かに分け…

阪神淡路大震災と自衛隊part3

このシリーズでは、阪神淡路大震災での自衛隊の活動をとりあげています。 阪神淡路大震災が起こったのは朝の5時46分のことでした。自衛隊は6時30分には緊急勤務態勢にうつり、災害派遣を予想して出動準備にかかりました(part1)。しかし災害派遣要請…

有事の決断 ―阪神淡路大震災と自衛隊part2 

前回の続きです。震災の直後、半分以下の職員しか集まらなかった自治体が混乱する一方で、自衛隊は早朝から災害派遣に備えて準備にとりかかっていました。主要な人員が速やかに参集し、非常勤務態勢に移ったのは午前6時台のことです。有事の組織に相応しい即…

レーザー砲がつげる宇宙戦争の時代

アメリカが空中レーザー(ABL:Airborne Laser)による弾道ミサイル破壊実験に成功しました。(NYT)うちのブログは時事的なことや兵器の話題は苦手なので余りとりあげないのですが、これはさすがにスルーしかねます。 ABL(空中レーザー)とは何か? ABLはミサ…

阪神・淡路大震災と自衛隊 part1

阪神淡路大震災は多くの人々にとって忘れ得ぬ災害です。あまりにも衝撃的な、あまりに悲惨な出来事でした。拙ブログで先日掲載した記事「なぜ災害時に軍隊・自衛隊が活躍するのか?」で、頂いた反響の多くが阪神淡路大震災の際のエピソードに関心を寄せられ…

なぜ災害時に軍隊・自衛隊が活躍するのか?

大災害が起こったときに軍隊や自衛隊が活用されるのは、いったい何故でしょうか? 軍隊や自衛隊のいかなる点が、災害時に役に立つのでしょう。他の組織ではいけないのでしょうか。【この記事は新ブログへ移転しました】

戦争の兆候に気づくのが難しい理由 ヨムキプル戦争1

戦争が、今まさに起ころうとしていました。何十万人という敵軍が国境に迫っていたのです。にも関わらず、まさか敵軍が本当に攻めてきて、戦争になるとは、誰も思いませんでした。いったい何故でしょうか? 今回とりあげるのは「十月戦争」です。以前からお読…

災害用伝言ダイヤル(171)&伝言板サービスについて調べたのでまとめ(追記あり)

地震に備えて覚えておきたい災害伝言サービスについて軽く調べてみたので、自分用のメモがてらまとめておきます。【この記事は新ブログへ移転しました】

武器輸出三原則は武器の輸出を認めている

北澤大臣が武器輸出三原則の見直しを言い出し、議論を呼んでいます。 北沢俊美防衛相は12日、都内で開いた防衛関連産業の新年会で、武器輸出三原則について「そろそろ基本的な考え方を見直すこともあってしかるべきだ」と述べ、見直しに前向きな考えを示した…

ニコ動で話題の蝉丸Pと池上彰さんに学ぶ「伝える力」

蝉丸Pこと仁鐵和尚といえば、ニコニコ動画でたいへん有名なお坊様です。 蝉丸Pの動画「ニコニコ仏教講座」には作者の卓越したコミュニケーション能力がうかがえます。だから、仏教の話なのに、ニコニコ動画をみるような若い人に大きな反響を呼んでいます。…