リアリズムと防衛を学ぶ

本の感想などを書いています。

「ロシア軍をウクライナに送る必要はまだ無い」とプーチンは述べた

3/4日のBBCの報道によれば、プーチン大統領は軍をウクライナに入れる必要はまだ無い、と述べたそうです。 もしウクライナ側がクリミアを諦めて本土防衛に専念するなら、流血が回避できるかもしれません。ロシアの完勝という形で。 ざっくりしたこれまでの経…

戦時態勢に入ったウクライナは勝てるのか?

ウクライナ危機は過熱しています。BBCによれば「ウクライナ防衛当局筋によれば、ロシア軍は在クリミアのウクライナ軍に、標準時3時までに降伏せよ、さもなければ攻撃すると通牒した」そうです。(BBC)日本時間で本日の12時がタイムリミットです。 ※追記…

「ロシアが軍事介入」のインパクト

ロシアはウクライナへの派兵を決定しました。対してウクライナ新政権は軍に厳戒態勢をとるよう命じ、さらには予備役を招集しました。国連安保理では米欧・露が互いの主張をぶつけあい、NATOは緊急の大使級会合を開きました。ウクライナ危機は、急激に深刻さ…

ウクライナ危機がイマイチ分からん人にオススメのBBC製「まとめサイト」

ロシアが軍事介入を決定したことで、ウクライナ危機は急速に進展しています。が、なにぶん遠方のことですがから、土地勘もないし、イメージしづらいところです。 いま問題の焦点は、黒海艦隊の母港があるクリミアの帰趨にありますが、「黒海? どこだそれは…

オリンピックと侵略とーウクライナ危機にみる世界の仕組み

オリンピックが開かれたソチのすぐそばでは、ロシア軍がクリミアを侵略。昔から変わらない国家間の勢力争いがつづく、この世界の仕組みについて考えました。

読んだ本:「南極点のピアピア動画」野尻抱介著

南極点のピアピア動画[Kindle版] posted with ヨメレバ 野尻 抱介 早川書房 2013-01-25 Kindle Amazon[書籍版] 本書はニコニコ動画とボーカロイドをモチーフにしたSFです。以前に各所で話題になっていたので、遅まきながらKindle版で読んでみました。 てっき…

「対空ミサイル・コンプレックス」とは何か

韓国が新型の対空兵器を開発したことが一部で話題になっているようです。 韓国は低空飛行体を撃滅する多目的地対空ミサイル・コンプレックスを開発した。27日、国防兵器購入を担当する国家機関の発表をもとに、聯合通信が報じた。(ソース) これを「コンプ…

「艦これ」から始まる海軍の歴史

ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」が大ヒットしています。 「艦これ」から艦艇に興味をもった方も多いかと思いますので、「艦これ」の時代から現代まで、水上艦艇の戦いがどのように変化してみたかを追ってみましょう。 「艦これ」の時代は来なかった 航空…

読んだ本:「考える生き方 空しさを希望に変えるために」finalvent著

考える生き方 posted with ヨメレバ finalvent ダイヤモンド社 2013-02-21 図書館 極東ブログのfinalvent氏のエッセイ。 国際、国内の政治問題などが多い氏のブログとは異なり、この本は氏のこれまでの人生を振り返る内容です。 人生の各場面でどんなことを…

島をめぐる争い '82

両国が領有権を争っている島へ、一方の市民が不法に上陸しました。これは、30年前のおはなし。1982年、南太西洋の島々の領有権をめぐり、イギリスとアルゼンチンが戦争をしました。フォークランド紛争と呼ばれています。始まりは民間市民の上陸でした…

戦争の誕生 〜ヒトはいつから戦ってるのか?

「人類の歴史は戦争の歴史だ」と言いますが、人類はいつから戦争をしているのでしょう? 近代において、戦争とは国と国とがやるものでした。しかし現代では違います。山賊が自動小銃をもち、海賊がミサイルを放っています。テロリストが飛行機でビルに突っ込…

ミューズリーの種類と選び方

ミューズリーにはいろいろな種類があります。主要なメーカーだけでも3、4つ。日本で手に入るものでも、1つのメーカーから5種類くらい。ミューズリーに少し興味持ったけど、検索したら種類が意外とあるらしいし、どっから手を出したものやら?? というア…

戦場に社会が見える

「人類の歴史は、戦争の歴史だ」とはよく言ったものです。なぜなら戦争とは、社会の営みの延長線上にあるからです。戦争と軍隊のカタチは、その時代、その社会のあり方と分かちがたく結びついています。 戦争の歴史を追うことは、戦争という切り口で、人類の…

鳥のエサを食べよう! ミューズリー入門

リアリズムにも防衛にも全く関係ない話をします。「ミューズリー」というマイナーな食品のススメです。おやつや簡単な朝ごはんにお勧めです。 スイスの貧しいシリアル朝食にシリアル、という人は結構います。たいていはケロッグみたいな、甘くて、柔らかいも…

○○は戦争から始まった

何ごとにも、起源と歴史があるものです。また、人類の歴史は戦争の歴史といいます。だから、意外なものの起源が戦争につながっていたりします。例えばインターネットです。 インターネットと核戦争 インターネットの起源は1969年。核戦争を戦うために作られ…

北東アジアの2つの爆弾

北東アジア・太平洋地域には、武力紛争の恐れが大きい場所が2つあります。今回はこれらと日本の関連についてです。 1つは朝鮮半島。北朝鮮と韓国との紛争です。昨年2010年の3月には韓国軍の哨戒軍「天安」が北朝鮮によって撃沈され、12月には延坪島への砲…

117番は時報、119番は消防。では118番は??

118番は海上保安本部につながる電話番号です。2000年から設置された118番ですが、子どもでも知っている警察の110番の警察、消防の119番に比べて、あまりに知名度が低いのが問題になっています。 四面環海の日本は海難事故も多く、海難救助は…

「万里の長城を、海に ―21世紀の中国海軍」 Bernard D. Cole著

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なぜ中国はそんなに空母が欲しいのか?

「空母をつくってもおかしいことではない。昔は日本も持っていた」 「中国が空母をもつ日 ―江畑謙介の戦争戦略論1」 経済発展には商船隊が、商船隊には海軍が不可欠 現代での商船保護 マラッカ・ジレンマと商船保護 避け難い2つの運動 引用文献 関連記事 …

中国の離島侵攻プランと『戦略的辺彊』

すっかり門松も取れた頃ですが、遅まきながら明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いします。 昨年12月30日、朝日新聞の峯村健司記者がインパクトのある記事を物されました。南シナ海において、中国軍が他国の実効支配する島に侵攻する計画…

自衛隊の対中国シフトと、その事情

新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」が発表されました。これら2つは防衛省と自衛隊が「こんな感じでいきまっせ!」という防衛政策の設計図です。 大筋では、防衛費の総額を抑えつつ、中国対策へのシフトを鮮明にしています。 そのために具体…

アメリカ空軍のジェット戦闘機が、今年もサンタさんを追跡!

発展した軍事技術は、はるかな高空や衛星軌道上までもをその射程に収めました。衛星軌道上のスパイ衛星、地上のレーダーら高度な警戒システムを有するアメリカ空軍は、毎年かかさずサンタクロースの追跡にあたっています。 北米の防空司令部がサンタ情報をお…

経済で戦争は防げるか――『The Costs of Conflict』

The Costs Of Conflict: The Impact On China Of A Future Warposted with amazlet at 10.12.19Univ Pr of the Pacific 売り上げランキング: 1190170Amazon.co.jp で詳細を見る 本書、「紛争の代価(THE COSTS OF CONFLICT)」は、台湾有事について主にコス…

「災害の一日前に戻れるとしたら、何をしますか?」と被災者に聞いてみたページがすごい

「一日前プロジェクト」をご存知でしょうか。たいへんいい企画だと思うので、ご紹介させて頂きます。「一日前プロジェクト」は地震、津波、豪雨などさまざまな災害に遭った方々に「もし災害の一日前に戻れるとしたら?」と聞いて、小さな物語を集め、発信し…

商船三井のタンカーを攻撃したのはアルカイダ系組織と断定

5日前の記事ですが、ニュースの紹介です。今年7月におこった日本の原油タンカーへの攻撃は、犯行声明の通り、アルカイダ系のテロ組織によるものだと断定されたそうです。(時事通信11/23) 商船三井の原油タンカー「M・STAR」が今年7月、ホルムズ海峡…

北朝鮮による砲撃、または「若将軍」のバクチ

北朝鮮による砲撃事件についてです。 この事件については「離島の民間人への砲撃」という行動から、2つの意味が汲み取れます。「去年のお返しだ」ということと「わが国を邪魔するとソウルも、こうしてやる」ということです。そういったメッセージを北朝鮮が…

オバマvs胡錦濤のラップ対決と、米中対立のかたち

「溜池通信」のかんべえ先生が音楽の動画を紹介なさっています。なかなか面白いので、このブログでも紹介させて頂きます。歌っているのはアメリカのオバマ大統領と、中国の胡錦濤 国家主席です。 ところでこれ、ちょっと面白いっす。オバマさん、まるでホン…

ビデオ流出の法的な取り扱いについて整理

ひきつづきビデオ流出事件についてです。この件については過去の記事で2度言及しました。「ビデオ流出による3つの問題」で「非公開とした政府」、「流出による海保の統制」、「今回の件に限らない日本の情報保全体制」の3つの論点があることを指摘しまし…

流出犯の自白と、2つの事件の混同

尖閣沖の衝突事件の捜査資料であるビデオがYoutubeに流出した事件で、ビデオを流出させた容疑者が自白し、警視庁に引き渡されました。他方で、容疑者が所属している神戸海上保安部には激励の声が数多く届いています。しかし「漁船衝突事件」と「ビデオ流出事…

ビデオ流出による3つの問題

尖閣諸島沖で中国漁船が海保の巡視船に体当たりしてきた事件で、公開だ、非公開だと議論になっていたビデオがYoutubeに流出しました。ビデオの内容と検証画像は「週刊オブイェクト」で見られます(参照「尖閣衝突ビデオが流出 : 週刊オブイェクト」)。NH…